認知症妄想を悲観し 89歳母親を66歳息子が殺害
2018年8月2日。
大分中央署は、大分市内の自分の実家に1人でいた母親の無職 甲斐光子さん(89)の首を絞め殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで、同市奥田の無職、甲斐邦彦容疑者(66)を現行犯逮捕した。
母親は意識不明の重体で、治療を受けている。
同署が動機など詳しく調べる。
逮捕容疑は2日午前11時50分ごろ、実家に1人でいた母親の首をひものようなもので絞め、殺害しようとしたとしている。
同署によると、甲斐容疑者は午後0時10分ごろ、「母親の首を絞めた」と110番通報した。
玄関前に居た所を殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
警察官が駆け付けると、母親は2階建ての民家の1階で倒れていた。
母親は90代の夫と2人で暮らしていた。
甲斐容疑者は母親とは別居しており、数日前から訪れていたという。
母親の光子さんは、大分県大分市内の病院に搬送されたが、意識不明の重体が続いていた。
甲斐邦彦容疑者は、頻繁に母親の介護のため実家を訪れていて、数日前から泊まっていたと見られている。
犯行当時、90歳の父親は不在で、母親と2人きりだった。
大分県警は、介護の疲れから犯行に及んだと見て、犯行に至った動機を慎重に調べる。
付近の住民によると、母親はおよそ1年前から認知症を患っていたという。
大分県警は6日、意識不明の重体だった母親の無職 甲斐光子さん(89)=同市畑中=が同日早朝、病院で死亡したと発表した。
大分県警が司法解剖を行った結果、甲斐光子さんが死亡した原因は「低酸素脳症」と判明した。
大分県警は、殺人容疑も視野に引き続き事件の詳しい経緯を調べている。
認知症の母殺害で実刑 大分地裁「同情の余地ある」
2019年1月18日
母親の首を絞めて殺害したとして殺人罪に問われた大分市の無職甲斐邦彦被告(67)の裁判員裁判の判決公判が、2019年1月16日、大分地裁であった。
有賀貞博裁判長は「被害者を殺害するしか手立てがないような状況に置かれたとはいえない。短絡的で許容できない」として懲役4年を言い渡した。
判決によると甲斐被告は昨年8月、大分市内の実家で母親の首を腰ひもで絞めて殺害した。
認知症の影響で妄想を抱くようになった母親が他人に迷惑をかけたり、危害を加えたりするのではないかと悲観し、殺害を決意した。
有賀裁判長は判決で、「殺すほかないという発想に至るにはかなりの飛躍がある」と非難。
一方で甲斐被告が母親を入院させ、要介護認定を受けられるように申請したことは評価できるとし、
「母親が他人に迷惑をかけ続けると悲観したことに同情の余地はある」と述べた。
甲斐被告が自ら110番通報したことから自首が認められた。
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